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製品開発にふれてみつけたやりがい--経理と営業の二足のわらじで社内最高の賞を受賞するまで

企業において欠かせない経理部門。 “縁の下の力持ち”であるものの、経理という職種は、あまり注目されることがないというイメージが強い。しかし、管理本部 経理財務部の際 真美香(きわ まみか)は、ウイングアーク1stの年間表彰の中でも最高峰であるGolden Glove賞を受賞。しかも、経理部門からではなく他部門である営業部からの推薦で受賞という、前例のない偉業を成し遂げた。なぜ経理の際が営業部門の推薦を受けて受賞するに至ったのだろうか。
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製品開発に携わったことで、経理DXが身近なものに

際は、2005年に中途採用でウイングアーク1stに入社。まだ立ち上げて間もないウイングアーク1stの経理を際が選んだのは、関わる業務範囲が広く、いろいろなチャレンジができるのではないか思ったからだ。

そんな想いを叶えるかのように、際の経理人生が大きく変わったのが、帳票・文書をデジタル化して効率よく管理するドキュメント管理ソリューション「SPA」の開発が始まった2015年だ。

SPAの開発に伴い、社内でも電子帳簿保存法に対応してより一層ペーパーレス化を行っていくことになり、国税庁と調整をしながら開発を進めることとなる。際は経理の立場から国税庁との窓口として、電子帳簿保存法の要件を満たすためにはどのような機能が必要なのかをIT部門や開発部門に提案するという、国との橋渡し的な業務を担当することになった。

際「当時は国税庁の方と数ヶ月間、ほぼ毎日やり取りをしていました。また、製品の開発と並行して、自社への導入のため、電子帳簿保存法に対応するためにはどういった運用やシステムの構築が必要なのかということも社内関係者と検討していました」

際は、ITに詳しいわけではないが、経理のデジタルトランスフォーメーション (DX)化は将来的に不可欠と感じ、通常の経理業務をこなしつつ、開発部門に要望する機能を伝え、自身の業務に自社の製品を活用し DX を進めていった。

自社製品に対する理解の深まりとともに、「IT企業の経理」の意識が高まる

その後、SPAが製品化され本格的に販売が開始されると、際は営業と一緒に顧客訪問を行うようになる。もちろん所属は経理部門のまま。経理の立場から営業活動に参加するようになったのだ。

際「最初は営業担当者と当時の経理部門の上司、そして私の3人で商談先へお伺いして、経理の実務に関わる話になったときに、自社の導入経験を含めて説明する、という感じでした。しかし上司が忙しくなり、営業担当者と私の2人で行くようになりました。それが2018年頃です」

人前で話すことが得意ではない上、営業職に就いたことがない際にとっては、あまりにも普段の仕事とかけ離れた業務であったが、そのような活動を行うことにあまり違和感はなかったという。

経理部門のある管理本部は、基本的に「経理がゴール」という経理業務だけをやっていればいいという考え方があまりない。これはウイングアーク1st全体にも言えることで、自分の職種を超えて社内のさまざまな分野で活躍する人が多い。そのような社風のなかにいたため、経理をしながら営業活動を支援する状況を自然に受け入れられたという。

それまでは「どんな会社でも経理は経理」と思っていたのだが、「IT企業の経理」であることを意識するようになったことをきっかけに、仕事への取り組み方も変わったという。営業先で自社の製品の説明をするために、自社ではこのように使っているという自社事例を話す。「IT企業の経理」として、他社の参考にもなるような、ITを駆使した最先端の経理でありたいと仕事自体への意識が大きく変わった。

際「私は、常に会社にもっと貢献するため何ができるかを考えていました。自分は経理という職種の中でも業務のすべてをできているわけではありません。経理部門に所属しながら営業活動に参加してもいいという環境がウイングアーク1stにはあったことと、私にチャンスをくださる方がたくさんいたということで、視野を広げるきっかけとなりありがたかったです」

際の活動は製品の販売に確実にプラスになっていく。営業の場で、経理の立場から率直に意見を述べ、相手先の経理部門が抱える課題を浮き彫りにしていくことで、経営層にも経理DXへの必要性を感じさせることができるようになったのだ。

通常の営業スタイルとは違う、「現場の人間を営業に連れて行く」というスタイルは、なかなか珍しいことなのではないだろうか。

営業部門の推薦を受け社内最高峰のGolden Glove賞を受賞

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この活動が認められ、際は営業部門からの推薦により、2020年度のGolden Glove賞を受賞する。この賞は、ウイングアーク1stの表彰制度の中でもトップに当たるもの。経理部門から表彰されることはもちろん、他部門からの推薦で受賞するというのは初めてのことだ。

際「営業部門から推薦されたことはすごくうれしかったです。ただ、実際はもっと製品の開発に携わっている方や、バックオフィス業務をやりながら他の仕事をしているという方もいらっしゃるので、あまり特別なことではないと思っています」

社内表彰の推薦は、自部門の社員を推すのが普通のことだが、今回に限っては営業部門が経理の際を推薦。それくらい、Golden Glove賞の対象になる活躍をしていたと、推薦者である営業部門のトップが語っていたことから、際がどれだけ営業に大きな影響を及ぼしていたのかがわかるだろう。

際のような働き方ができるのは、際個人の頑張りがあるのはもちろんだが、管理本部の環境に寄るところも大きい。経理部門から営業に同行しているのは際一人。そのため、際が席にいないことも多かった。

際「もしかしたら、私がいない間に急ぎの仕事があったかもしれませんが、まあ戻ってきたらちゃんとやるだろうというように、寛大に接してくれていました(笑)。自分が持っている仕事を絶対優先しなさいという考え方ではなく、両方きちんとやりなさいという雰囲気がありました」

このような風潮は、管理本部だけではない。ウイングアーク1stは、ジョブチャレンジという兼務を推奨する制度がある。自分の仕事以外にもやってみたい職種があれば、どんどんチャレンジできる。際は、経理と営業というかなり毛色の違う2つの業務を両立させているが、それもウイングアーク1stの持つジョブチャレンジという制度があればこそだろう。

また際は、2018年頃からSPAのエバンジェリストとしてイベント登壇などの機会が増えている。経理の仕事とは異なることをやっていくことについて、際はポジティブに捉えている。

際「営業活動支援や経理DXのエバンジェリストとして、みなさんの前でお話させていただくという機会がある経理人生と、ない経理人生では、ある経理人生のほうが、圧倒的に視野が広がります(笑)。人に伝える、ということで専門的に学ぼうという気持ちも強くなります。私は経理業務が大好きなのですが、このような活動から見えてくるものが結果として経理の仕事にプラスになっていると感じています」

普通なら裏方として企業を支える経理の人間が、表舞台で活動する。際にとっての「経理の花道」を歩んでいると言ってもいいだろう。

自社はもちろん、経理業界全体のDX化を目指して

製品の開発や営業活動に携わることで、ウイングアーク1st内で率先して経理のDX化を推し進めている際だが、理想としているところまではまだまだ到達していないという。

際「経理のDX化を進めてはいますが、まだまだアナログな部分が残されているので、自分が担当しているという責任をもって引き続きその改革に取り組んでいきたいです。私個人の業務に関しては、DX化はまだ50%くらいだと思っています」

単に経理のDX化といっても、障壁は多い。DX化をするにあたっては、それなりに手間や費用がかかる。さらに、経理はこれまで長い間人間の手でやってきたという実績があるため、どうしてもDX化の優先順位が低くなってしまいがちだ。

際「例えば、経理では、社内の数字を正しくまとめて資料にするという業務に時間を取られます。しかしDX化が進むことで、そのような作業の時短が図れます。時短により生まれた時間で、本来やるべきである、出てきた数字を分析してきちんと理解し、経営層の意思決定に必要な情報を提供する、ということができるようになります。経理業務を高度化し、もっと戦略的に事業の成長に貢献できるようにしていきたいです」

自社の経理DX化だけではなく、経理業界全体のDX化を推進していくために、際はこれからも経理と営業の二足のわらじを履いて活動をしていく。

(2021.06)