チャレンジする組織・社員のストーリー WingArc1stのカルチャー

硬派の中にある柔軟性をデザインするのが自分の仕事

専属デザイナーの伊藤清史はウイングアーク1stのブランドイメージを「赤と黒とやさしさ」のあるデザインで表現したいという。硬派でありながら柔軟性もある企業だと考えるからだ。マイルールを守りながら働き、感覚派のクリエイティビティを大事にする伊藤のこだわりにあふれる表現でもある。
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腰を据えて人生初の企業専属デザイナーに

ウイングアーク1stのサービスロゴ、バナー、アイコン、UIなど多岐にわたるデザインを一手に引き受ける伊藤は、専属デザイナーとして日々活躍している。

伊藤「現在はマーケティング本部ブランドマーケティング部に所属し、企業マーケティングに関連する仕事だけでなく、いろいろな部署のデザインに関わる仕事を担当しています。どの仕事も顔のわかるメンバーから依頼されるのでコミュニケーションしやすく、やりにくいと感じたことはないですね。自分にとって、デザインしづらいと思うことと仕事がしづらいということはイコール。それが全くない。裁量の中で自由にさせてもらっています」

 実は伊藤が企業の専属デザイナーとして働くのは約20年のキャリアの中でこれが初。2017年3月に派遣デザイナーとして入社し、2019年6月に社員登用され現在に至る。

伊藤「デザイナーとして、12年ほどフリーランスで働いていました。けれども、独立することにそれほどこだわっていたわけでもなく、集中できる環境で働きたいとずっと思っていたんです。入社のきっかけはデザイナー派遣の求人を見たこと。ただし、当初は産休に入る社員の代わりとして1年だけの予定でした。けれども、ご縁もあり今に至ります。」

1年限定どころか正式にキャリア採用されて働くことになった背景には、会社内でプロに相談したいデザインのニーズが想像以上にあったことも大きかった。

伊藤「当初は代表役員のプレゼンテーション用に必要な製品アイコンなどのデザインが主な仕事でした。仕事量が多くはありませんでしたので、軽い気持ちから社内営業を始めたんです。そうしたら、社内ではデザインのニーズが思ったより多く、仕事がどんどん増えてきました。いろいろな種類のデザインを考えることができるので自分自身も面白くて夢中になっていきました。楽しくて仕方がなかったですね」

 自分からかかわることで会社にとって欠かせない存在になっていった伊藤。その過程を語る口調からも充実ぶりが伝わってくる。

ウイングアーク1stを「赤と黒と優しさ」でデザインする

言語や感覚を具現化することもデザイナーに求められることのひとつだ。デザインを依頼する社員から伊藤はそれをどのように聞き出しているのか。

伊藤「デザイナーは大きく『理論派』と『感覚派』の二つのタイプに分けられます。自分は完全に感覚派。依頼された時は、どんなものを作りたいのか聞く側に徹し、一通り会話をしながらインスピレーションを得ます。『デザインがふっと自分の中に降りてくる』と言ったらいいでしょうか。そんなふうに毎回閃きがあるんです。『楽しい』という言葉からは柔らかさや明るい色合いでデザインを仕上げていきます。具体的には初回の打ち合わせの後に3パターンのデザインを作成し、そこから詰めていくことが多いです」

 ウイングアーク1stそのものに対しても独自のデザインイメージを持っている伊藤。

伊藤「硬派の中に柔軟さがあるのがウイングアーク1stです。重みがあり、柔らかさも感じるコーポレートカラーの赤がまさにそんなイメージです。公式Webサイトではその赤を基調に黒も使い、そしてやさしさが表現されています。この赤いカラーは積極的に使われているわけではありませんが、この色を見たらおのずとウィングアーク1stであることがわかるぐらいに、みんなの脳裏に刷り込まれていくようになるのが理想です」

 今後豊かな感性を武器に、コーポレートデザインを統一化させていくことも、伊藤のミッションのひとつだ。

伊藤「これまで、それぞれの担当者がバラバラに発注していたデザインを集約することで、ある程度統一感を持たせることもできます。ウイングアーク1stでは、本格的なコーポレートブランディングの見直し時期にあります。ブランディングの方向性に合わせ、会社の持つ柔軟性のあるイメージに合うデザインを考えていきたいです。ルールを決めて取り組むことも、これまでのキャリアの中では初めての挑戦になります。難題ではありますが、しっかりとしたデザインルールを作りたいと思っています」

朝8時出社のマイルールでストレスフリーなワークライフ

フリーランス時代からのマイルールを守っていることも、伊藤の仕事のこだわりのひとつ。タイムマネジメントをしっかりと行い、ストレスのない生活を送ることを心掛けている。これもプロ意識の高さがわかる一面だ。

伊藤「フリーの時から仕事の開始時間と終了時間をある程度決めて、それを守っています。週末は必ず休みにしていました。時間に縛られると言えばそれまでですが、こうしたスタイルが自分には合っていて、心地良く感じるんですよね。だから、ウイングアーク1stに入社して、毎日出社する生活になってからも、ほぼ同じルーティンで生活を続けていました。毎朝出社は朝8時か遅くとも8時半、退社時間は19時ごろ。遅刻することがとにかく嫌いなので朝早く出社しているのですが、理由はそれだけではありません。朝が早いと電車も会社のあるビルのエレベーターも空いています。仕事をするためのエンジンがかかるのも早くなりますし、ランチも早めの空いている時間に済ませています。早く起きるだけで全てが空いているんですよ!これは僕にとって大きなメリットです。現在はリモートワークですが、スタイルは変わりません。※」

※コロナ禍の2020年6月に取材

 1日の仕事を終えた後や週末の過ごし方も実にストイックだ。

伊藤「夜は毎晩、23時頃には眠ります。睡眠時間も決まって7時間。たまに0時を回ると、次の日眠くて仕方がないぐらいです(笑)。平日に飲みに行くこともほとんどありません。週末もジムに通うことが日課。朝7時ごろに起きて、ジムも朝イチの空いている時間に行きます。リフレッシュするために冬はスキー、夏はサーフィンに行くこともありますよ」

 徹底した時間管理と健康的な生活を、伊藤はなぜ続けることができるのか。その理由はこれまでの経験や習慣にある。

伊藤「納期を守らなければならない、遅れてはいけない仕事であることがひとつの理由にあります。実家が時間に厳しい家だったことも大きいのかもしれませんね。遅刻厳禁と言われ続けていたことが自然と身についています。それから、フリーランス時代にずるずると週末まで仕事を続け、精神的に不調になってしまった経験がありました。だから、それを繰り返さないよう、自分でルールを決めて守り続けているのです。自分で決めたルールを守ることは気持ちよく感じられます。自由にやらせてもらえる会社だからこそ、自分のルールを崩さずに働けることができるのだと実感しています」

アメリカ生活10年と人生折り返し地点の現在

入社から数年足らずで会社の中で欠かせない存在になりつつあることや、タイムマネジメントの徹底ぶり。それらすべてには伊藤のこれまでの経験が繋がっていると言っても過言ではない。デザイナー人生を歩み始めるまでの道のりもまた、そこには含まれる。

伊藤「大学でアートを専攻していたものの、グラフィックデザインは独学。仕事をしながら習得していきました。その間、半田ごてを売る営業マンもやりました。印刷会社でデザイン的な仕事と営業担当も兼ねたこともありました。グラフィックデザイナーとして仕事をするようになったのは、デザイン会社に入ってから。ただし、ひとつの会社に固執することなく、いろいろな会社でいろいろな雇用形態で活動していました」

 伊藤がアートを専攻した大学の所在地は日本国内ではなくアメリカで、10年もの海外生活経験を積んでいる。

伊藤「20~30歳まではアメリカで過ごしました。14歳の頃からアメリカにどうしても行きたかったんです。映画好きの父親と自宅のレーザーディスクで映画を観るのが習慣で、中でも印象的だった『E.T.』や『グーニーズ』、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に影響されたのがきっかけです。高校を卒業した後にまずは1か月間、アメリカでホームステイを経験し、それが楽しくてしかたありませんでした。それで本格的に準備をし、大学に入学しました。卒業後は現地で働くことも考えましたが、結局帰国することを選んだわけですが、良い経験でした」

 バリエーションに富んだ人生の色をみせる伊藤。そんな彼は人生の折り返し地点にいる今、新たな挑戦も考えている。

伊藤「社内のいろいろな部署の方と仕事をしているので、横の繋がりを活かしたいですね。そのうちにはデザインを作ることだけでなく、プロジェクトのディレクションなどにもトライしたいと思っています。残りの仕事人生でも、常に新たな方向性を見出しながら進んでいきたいです。引退後はゆっくりしたいですけれどね」

 冷静さのなかに情熱を秘める伊藤独自のワークスタイル。これからさらに洗練されたデザインを生み出してくれそうだ。

(2020.06)