チャレンジする組織・社員のストーリー WingArc1stのカルチャー

知見の蓄積は思い込みを捨て去ることから始まる

嘉藤 晃招がウィングアーク1stに入社した理由は明瞭だ。「自社製品を持っていること」「エンジニアの人材育成にも積極的」「裁量権を与える自由度がある」の3つ。これと決めたら突き進む嘉藤。その行動の背景には「思い込みを捨て去ることによって、知見は蓄積される」という確固たる信念がある。
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Amazon技術認定資格の取得から意識した転職

2018年10月入社の嘉藤は2020年現在、BIダッシュボード「MotionBoard Cloud」を稼動させるインフラ管理に携わっている。これまでのキャリアはエンジニアだけでなくさまざまである。転機が訪れたきっかけはAWS(Amazon Web Service)上位認定資格を取得したことだった。

嘉藤 「AWS認定資格を持つと、LinkdIn(ビジネスに特化したSNSサービス)の閲覧ページが何倍にも増えるという話を聞いて、どれくらい増えるのか確かめたいと思ったんです。ただそれだけの理由から2018年5月にAWS上位資格を取得しました。結果、それがきっかけとなって声をかけていただき、その中でウィングアーク1stを選びました」

そんな嘉藤には転職先を選ぶ上で意識していたことが3つあったと言う。1つ目は自社製品を持っている会社であることだ。

嘉藤 「教育業界からIT業界に復帰した直後は、派遣エンジニアとして働いていました。その経験から、納品したシステムに対して責任を持てるエンジニアになりたいと強く思うようになったんです。

また、Slerのビジネスは今後、先細りのリスクがあるのではないかと感じていました。そんな不安要素を取り除き落ち着いて仕事ができる環境が、自社製品を持つ会社にならあるだろうと考えました。

私はプログラムを動かす基盤をつくる側のエンジニアですから、上物としてのソフトウェアがなければそもそもシステムは動きません。だから必然的に、自社製品としてソフトをつくっているところでなければならないという結論にいたりました」

Slerのビジネスが持つ将来のリスクを視野に入れながら、転職先を選んでいた嘉藤。その他の理由では、エンジニアとしての成長や挑戦を求めることがその背景にあったと言う。

嘉藤 「2つ目はエンジニアとして成長するため、勉強会への参加に理解のある会社だということ。エンジニアは勉強をやめてしまった時点で成長が止まってしまうからです。どの職種にも言えることかもしれませんが、とくにエンジニアは勉強をやめることで成長のストップが顕著に表れるタイプの仕事なんです。

そして、3つ目はエンジニア個人に積極的に裁量権を与えてくれること。たとえば、新しい技術情報を製品に組み込む提案をした場合、それを受け入れてくれ、実際に検証する機会を与えてくれる会社を求めていました」

ウィングアーク1stほど、高いレベルでこの3つの要素を満たす会社はなかったと話す嘉藤。その顔には少しの迷いもなかった。

ラスベガス5泊7日の技術勉強会に参加、そこで見つけた新たなチャレンジ

入社後も、希望していた3つの要素が叶う場面が多いと言う。たとえば、裁量権の自由度についてである。上司に新たな技術情報を提案すると、業務として検証するチャンスが与えられるのだ。また入社から1年が経過した2019年12月、米・ラスベガスに全世界からエンジニアが集結する、Amazon主催の「AWS re:Invent」に研修旅行の名目で参加する機会を得た。

嘉藤 「年間を通して、世界各地でITエンジニア向けの勉強会やカンファレンスイベントが多数行われています。その中でも、ラスベガスで開催されるAWS re:Inventはとくに大規模なもの。世界中から数万人のエンジニアが集まり、ラスベガスの大通りに並ぶ建物を貸し切って開催されるんです。

連日にわたって基調講演やワークショップ、カンファレンスのプログラムが組まれ、エキスポと呼ばれる展示やデモもあります。5泊7日の研修旅行で得られるものは大きかったですね。帰国後は、参加して得られた情報をまとめた資料を部内で共有しました」

海外で最先端の技術に触れ、刺激を受けた嘉藤。エンジニアとして必要なスキルをさらに習得しようと、さっそく新たなチャレンジを始めた。

嘉藤 「発表会で発表する側になる。それが今の新たな目標です。エンジニアが現場で働くために必要なスキルは技術力だけではありません。文章を書く能力や人に説明する能力、交渉する能力も求められます。こうした技術力以外のスキルを身につける上で、まずはライトニングトーク(LT、5分程度の短いプレゼンテーション)から始めています」

2019年春から、ウイングアーク1st社内では3か月に1回のペースでLTの会が開かれている。発表者は毎回8~10人ほどでテーマは自由だ。嘉藤もさっそく挑戦してみたところ、手ごたえを感じることができた。

嘉藤 「テーマに選んだのはF1レース観戦。F1のロゴやサーキットの見取り図、現地で撮影した写真などを見せながら、三重県の鈴鹿サーキットに行った話をしました。タイトルは『世界最高峰』。ちょうどそのころ、東京オリンピック・パラリンピックの観戦チケットが入手困難だと話題になっていたからです。

F1も世界最高峰のスポーツ観戦。『オリンピックの観戦チケットが入手できないからといって、世界最高峰を観戦するチャンスはないと思うのはまだ早いですよ』と伝えた部分が一番ウケましたね」

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▲re:Invent会場に設置されていた、自由に描けるボード。
 世界で活躍する企業の中に、ウイングアーク1stの社名を残してきた!

学生時代に身につけた行動力、仕事も遊びも全力でやる

ここまでの話からわかるように、話術にも長けている嘉藤。その理由は、学生時代から人前で話す機会が多かったためだと言う。また、学生時代から交渉に当たる機会も多かった。

嘉藤 「中学時代は生徒会長を務め、大学時代はボランティアで練馬区の町おこし活動に力を入れました。出身は板橋区なのですが、縁あって練馬区の町おこしに携わっている方に誘われたんです。練馬区の文化を守るため、役に立ちたいと思い始めました。

東京都内でも田畑の多い地域の練馬区では、農家の方が長年にわたって守ってきた習慣や文化があります。そのひとつが茅萱(ちがや)と呼ばれる萱の草を使って馬の形を編み、ちがや馬という飾りにする七夕行事です。それを守っていくため、地元商店の店主に資金面での協力を交渉するなど、練馬区の文化のためにいろいろな活動を経験させてもらいました」

行動力のある嘉藤は趣味も多様だ。今は仕事後、パソコンのキーボードづくりに熱中している。

嘉藤 「昨今、自作キーボードが盛り上がっているんです。キットを購入し、はんだごてを使って400~500か所を加熱していくと、キーボードが組み上がります。キーボードがつくれるよと聞いて、趣味の一環としてやっているだけですが、何かひとつのことに集中すると、リラックスできるんですよ。

趣味としてはゲームも長続きしています。ここ3年ぐらいはボードゲーム大会に参加して楽しんでいます。以前はドラクエやファイナルファンタジーの原型になったテーブルトークRPG(人間どうしで行う対話型のロールプレイングゲーム)にはまっていましたね」

他にもバイクに乗っての遠出など、したいことが多くて時間が足りないと笑いながら答える嘉藤。仕事も生活の一部として捉え、ワークライフバランスを重視した働き方を目指している。仕事も遊びもいつでも本気だ。

専門領域を生かしてみんなが楽になることも自分の仕事

2020年現在所属するMotionBoard Cloud開発部において、自分はAWSの資格を生かして何ができるのか。嘉藤そんな使命感に燃えている。

嘉藤 「インフラエンジニアとして常に求められることは、システムを安定的に動かすことです。システムを止めてしまうだけで大損害。だから、究極的にはシステムを止めないためにセキュリティを高めることが求められていると思います。

それ以外では自らの専門領域であるAmazonの技術を生かして、開発チームの仲間が楽になることを目指したいですね。メンテナンスする際はマンパワーが頼りで、夜もリモートで5~6人が管理しています。これを自動化できるしくみをつくり上げることができたら、みんなが安心して夜眠れることができます。これも私に課せられた仕事だと感じています。そのためには稼働システムに対するセキュリティの知識を得て、改善していくことが今の自分の課題です」

「役に立てることは何か?」と常に意識しているからこそ、自身の課題も認識することができる。また行動に移すきっかけとなるヒントをつかみ取れていることも大きい。

嘉藤 「世界を見ることで、自分のモチベーションの向上につながることもあります。ラスベガスでも、同じエンジニアという職種の人間にこれだけ考えの違う人たちがいるんだなと痛感しました。

それと同時に、エンジニアはこうあるべきだという意識があると、得られるものが少なくなってしまうという危機感も覚えました。思い込みやステレオタイプを捨て去ることで、知見は蓄積されます。

ジェフ・ベゾス(AmazonのCEO)が『変革を始める前に麻痺してはならない』と話していたことは強く印象に残りました。成功しているものに手を加えることも嫌がらず、良い結果をもたらす可能性を否定しないこと。経験をベースにすべてを考えて良いのだろうかと、問いかけるものでした。これまでの経験則だけでわかっていると思ってしまうと最後。そうなるとせっかく得たものも無駄になるでしょう」

転職によって嘉藤は理想としていた環境を得た。技術力を高めるための勉強意欲、それを実践できる場があって、充実感を持ち仕事に取り組む様子が伝わってくる。

(2020.06)